IVRとは?仕組み・メリット・導入ポイントを徹底解説

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IVRとは?仕組み・メリット・導入ポイントを徹底解説
目次


はじめに

近年、顧客対応の自動化が企業の業務効率化と顧客満足度の両立において、重要なテーマとなっています。特にコールセンター業務においては、問い合わせ件数の増加や多様化する顧客ニーズに対応するために、人的リソースだけでは限界があります。

そうした課題を解決する有効な手段の一つが、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)の導入です。IVRは、電話を通じて自動的に音声ガイダンスを流し、顧客の入力(プッシュボタンや音声)に応じて最適な対応に振り分ける仕組みです。これにより、24時間体制の対応や、業務の効率化、人件費の削減など、さまざまな効果が期待できます。

本記事では、IVRの基本的な仕組みから進化の歴史、導入によるメリット、構築における技術要素、さらに導入時に押さえておくべきポイントまで、企業の情報システム担当者やコールセンター運営者に向けて、分かりやすく詳しく解説していきます。自社の顧客対応を強化し、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるヒントとして、ぜひご活用ください。


IVRとは?

IVRの概要

IVR(Interactive Voice Response)とは、電話を通じて顧客からの入力(電話のボタン操作や音声)に対し、自動音声で応答するシステムです。一般的には、以下のような流れで機能します。

  1. 顧客が企業の代表電話にかける
  2. 自動音声でガイダンスが流れる(例:「○○の方は1を、△△の方は2を押してください」)
  3. 顧客が該当する番号を選択または音声で応答する
  4. システムがその入力を解析し、適切な部署やオペレーターへ転送、または録音・自動応答などを行う

これにより、顧客の用件に応じてスムーズな振り分けが行え、無駄な待ち時間の削減やオペレーターの負荷軽減につながります。また、簡単な問い合わせには自動対応で完結することも可能なため、人的リソースの最適化も図れます。


IVRの歴史と進化

IVRは、1960年代に登場した初期の音声合成技術と電話交換技術に端を発します。当初は非常に限定的な機能しか持たず、大型企業や官公庁が中心に導入していました。1980年代にはDTMF信号(プッシュボタン)による選択入力が可能になり、現在のような「数字を押して選ぶ」形式が普及し始めます。

2000年代以降は、CTI(Computer Telephony Integration)の発展により、IVRがコールセンターシステム全体と連携するようになり、より柔軟で複雑な対応が可能になりました。また、近年ではAIや自然言語処理(NLP)を活用した音声認識機能が加わり、従来よりも直感的な操作性が実現されつつあります。

さらに、クラウド技術の進展により、IVRシステムは自社サーバーに依存せず、インターネット経由で導入・運用できるようになりました。これにより、中小企業でも短期間かつ低コストで導入可能となり、業種・業態を問わず幅広く利用されるようになっています。

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IVRの仕組み

IVR(自動音声応答システム)は、単に音声ガイダンスを流すだけの仕組みではありません。ユーザーの入力情報を適切に処理し、必要に応じてデータベースや他システムと連携しながら、効率的な顧客対応を実現する高度な仕組みです。この章では、IVRシステムの技術的な要素や構成について詳しく解説します。

コールフローの構築

IVRシステムの根幹をなすのが「コールフロー」です。コールフローとは、着信後にユーザーに提示する選択肢や誘導の流れを設計したものです。例えば、次のようなフローが考えられます。

  • 「商品に関するお問い合わせは1を、注文状況の確認は2を押してください」
  • 「オペレーターと直接話したい場合は0を押してください」

コールフローの設計によって、顧客体験が大きく左右されます。選択肢が多すぎたり、フローが複雑すぎると離脱率が上がるため、ユーザビリティを考慮したシンプルかつ直感的な設計が求められます。

また、最近ではノーコード/ローコードツールによって、専門知識がなくてもコールフローを自由に構築・修正できるクラウドIVRも普及しています。


DTMFトーン信号の役割

従来のIVRシステムは、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号を用いてユーザーの入力を受け付けてきました。DTMF信号とは、電話機のプッシュボタン操作によって発生する音声信号のことで、これをシステム側で解析し、対応する処理を行います。

たとえば、ユーザーが「1」を押すと、IVRはその音を読み取り「1に対応する処理を実行」するという流れになります。現在でも多くのIVRシステムがこのDTMFベースの入力を採用しており、堅牢かつシンプルな技術として信頼されています。

ただし、スマートフォン利用者が増加した昨今、より自然な操作を求めて音声認識技術との併用も進んでいます。

音声認識技術の導入

近年のIVRは、音声認識(ASR:Automatic Speech Recognition)機能を取り入れることで、DTMFに頼らずユーザーの音声指示を直接解析することが可能になっています。これにより、

  • 「注文状況を確認したい」
  • 「商品の交換について聞きたい」

といった自然言語によるやり取りが可能となり、直感的かつストレスの少ないユーザー体験を提供できます。

さらに、自然言語処理(NLP)やAIを活用することで、より複雑な会話パターンへの対応や、問い合わせ内容の自動分類・エスカレーションも実現されています。

このような「音声認識IVR」は、顧客満足度向上や対応時間の短縮に直結する技術として、多くの企業が導入を進めています。

クラウドベースのIVRシステム

かつてのIVRはオンプレミス型が主流であり、導入や保守に多大なコストと時間を要していました。しかし現在では、クラウド型IVRが主流となりつつあります。

クラウドIVRの特徴は以下の通りです。

  • サーバー不要で短期間に導入可能
  • スケーラビリティに優れ、繁忙期の増強にも柔軟に対応
  • ブラウザ上でのコールフロー編集、リアルタイムの設定反映
  • セキュリティ対策が施された堅牢なインフラ上で運用

これにより、コストを抑えつつ、安定稼働するIVR環境を構築できるため、特に中小企業にとっては導入ハードルが大幅に下がっています。

また、CRMやSFA、FAQシステムなど、他のクラウドサービスと連携しやすい点も大きな利点です。


IVRのメリット

IVR(自動音声応答システム)は、単なる自動ガイダンスではなく、企業の顧客対応体制に革新をもたらす重要なテクノロジーです。本章では、IVRを導入することによって得られる主要なメリットについて、具体的かつ実務的な視点から解説します。


顧客対応の効率化

IVR最大のメリットの一つが、顧客対応業務の効率化です。IVRを通じて、顧客からの問い合わせを事前に分類し、適切な部署やオペレーターに接続することで、対応のスピードと正確性が向上します。

  • よくある質問はIVRで自動応答
  • 個別対応が必要な問い合わせだけをオペレーターに振り分け

といった運用により、オペレーターの負荷を軽減し、対応品質の平準化も可能になります。

また、コールフローを最適化することで、顧客の待ち時間も削減され、カスタマーエクスペリエンスの向上にもつながります。

24時間対応可能

IVRは人手に頼らず、24時間365日対応が可能です。営業時間外でも顧客の問い合わせに対応できるため、顧客満足度の向上はもちろん、ビジネス機会の損失を防ぐことができます。

  • 配送状況の確認
  • 残高照会
  • 店舗案内

といった定型的な問い合わせを、営業時間外に自動で処理できることで、企業のサービス提供時間が拡張され、ユーザーの利便性が飛躍的に高まります。

コールセンター業務の24時間化を検討している企業にとって、人員増強よりも現実的な選択肢と言えるでしょう。

人件費の削減

IVRは業務自動化の効果が大きく、人的リソースの最適化に貢献します。オペレーターが対応する必要のない問い合わせをIVRが代替することで、対応人数の削減や業務再配置が可能となり、コールセンター運営にかかる人件費を大幅に削減できます。

さらに、ピーク時の一時的なコール増にも柔軟に対応できるため、繁閑差に応じた人員調整の手間を削減する効果もあります。

このように、IVRは単なる業務支援ではなく、コスト構造の見直しにも直結するソリューションと言えるでしょう。

データ収集と顧客行動分析

IVRシステムは、顧客の選択や発話内容をログとして記録・蓄積する機能を持っています。これにより、顧客の行動パターンやニーズを可視化し、データドリブンな改善施策に活用できます。

  • 「どの選択肢が最も選ばれているか」
  • 「どのタイミングで離脱が発生しているか」
  • 「時間帯別の問い合わせ傾向」

といったデータを分析することで、コールフローの改善、サービス品質の向上、マーケティング戦略への応用など、幅広い分野に役立てることが可能です。

特に、CRMやBIツールと連携させることで、一貫性のある顧客体験設計やLTV(顧客生涯価値)向上施策の基盤として機能します。


IVR導入のポイント

IVRシステムの導入は、企業の顧客対応体制を大きく変革する重要なプロジェクトです。適切な設計と選定が行われなければ、顧客体験の悪化や運用コストの増加といったリスクも伴います。本章では、IVR導入時に押さえておくべき重要なポイントを5つの視点で解説します。


顧客体験を最優先に考える

IVRは企業の都合ではなく、「顧客の利便性」を第一に設計すべきです。複雑すぎるメニュー構成や長すぎる音声ガイダンスは、顧客のストレスにつながり、離脱やクレームの原因となるため、以下の点を意識すると良いでしょう。

  • メニュー階層は可能な限りシンプルに
  • 初めてのユーザーでも迷わない導線設計
  • 人による対応へのオプションも明示する

特に、顧客の選択肢を減らすことが逆に満足度を上げるケースもあるため、UX(ユーザー体験)の視点を常に持つことが重要です。

システムのカスタマイズ性

IVRは企業ごとに異なる業務フローやサービス内容に合わせた柔軟なカスタマイズが求められます。

  • コールフローの設計自由度
  • CRMや他の業務システムとの連携性
  • 音声ガイダンスの変更や多言語対応

など、自社の運用要件にどれだけ対応できるかが選定時の重要な基準です。特に、今後の業務拡大やサービス変更を見据えた将来性のある設計が可能かも確認しておく必要があります。

セキュリティとプライバシーの確保

IVRは顧客の氏名や電話番号、場合によっては口座番号などの個人情報を取り扱うシステムです。そのため、セキュリティ要件は極めて高く設定されるべきです。

  • データ通信の暗号化
  • アクセス制限やログ管理
  • 多要素認証やIP制限

などの機能が実装されているかを確認し、特にクラウド型の場合はデータセンターのセキュリティ水準やISO認証取得状況もチェックポイントとなります。

また、個人情報保護法やGDPRへの対応状況も重要な確認項目です。

スケーラビリティの確認

企業の成長や業務量の増加に応じて、IVRシステムも柔軟に拡張できる設計が求められます。例えば、繁忙期に一時的にコール数が増加してもシステムが安定して稼働するか、支店や新規事業への展開が容易かなどが重要なポイントです。

クラウド型IVRであれば、オンデマンドでリソースを追加できるケースも多く、長期的な投資効果を最大化するうえでもスケーラビリティの確認は不可欠です。

サポート体制の充実

IVRシステムは一度導入すれば終わりではなく、運用フェーズでの調整やトラブル対応が欠かせません。そのため、ベンダーがどのようなサポート体制を提供しているかは、導入前に必ず確認しておくべきです。

  • 導入支援やトレーニングの有無
  • 保守・障害対応のレスポンス体制
  • 管理画面やマニュアルのわかりやすさ

などがポイントです。特に、運用後の改善提案や定期的なレポート提供など、能動的なサポートを受けられるかは、システムの価値を引き出すうえで非常に重要です。

まとめ

IVR(自動音声応答システム)は、企業の顧客対応業務を効率化し、サービスレベルの均一化やコスト削減を実現する強力なツールです。シンプルな電話窓口の自動化にとどまらず、音声認識やCRMとの連携を通じて、よりパーソナライズされた対応も可能になってきました。

本記事では、IVRの基本概念や仕組み、メリットから、導入時のポイントまで幅広く解説しました。特に、BtoB企業にとっては「業務効率化」「顧客満足の向上」「リソースの最適化」という視点が導入判断において重要です。

今後、IVRはAIやクラウド技術との融合により、より柔軟でインテリジェントな対応が求められるようになるでしょう。導入を検討する際は、単に機能面の比較にとどまらず、自社の業務プロセスや顧客ニーズとの適合性を見極めた上で、将来的な拡張性やサポート体制まで総合的に判断することが重要です。

IVRの導入は、顧客接点の質を高め、業務効率化と企業価値の向上を同時に実現するための一歩です。ぜひ本記事の内容を参考に、貴社に最適なIVRシステムの検討を進めてください。


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よくあるご質問(FAQ)

Q1. IVRとPBXはどう違うのですか?

A. PBXは社内の電話の内線管理や外線との接続を行う仕組みです。IVRはその上に構築され、顧客からの着信に対し音声ガイダンスで対応したり、情報を収集・分岐させる役割を担います。IVRは「対外的な顧客対応」、PBXは「社内の通話管理」と理解すると分かりやすいでしょう。

Q2. IVRを導入するのにどれくらいの期間が必要ですか?

A. 導入規模や要件によりますが、クラウド型IVRであれば1~2週間での導入も可能です。業務フローやガイダンスの設計、外部システムとの連携などが含まれる場合は、1~2ヶ月程度かかることもあります。

Q3. IVRの利用に特別な設備は必要ですか?

A. クラウド型IVRであれば、専用の設備は不要で、インターネット環境とPCがあればすぐに利用できます。オンプレミス型の場合は、サーバー機器やPBXとの接続設備が必要になる場合があります。

Q4. IVRは中小企業にも適していますか?

A. はい。クラウド型IVRの登場により、初期費用を抑えた導入が可能になり、中小企業でも手軽に活用できます。電話応対の質を向上させ、限られた人員で効率的な対応を行う手段として有効です。

Q5. 音声認識型IVRとプッシュボタン型IVRの違いは?

A. プッシュボタン型は顧客が電話のダイヤルボタンで選択する方式、音声認識型は「○○の件でお電話しました」など顧客の発話をAIが解析して振り分けを行う方式です。後者はより自然な対話が可能となる一方、導入コストがやや高くなる傾向があります。


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